暁の世界 ――崩壊の連鎖――
暁の世界
――崩壊の連鎖――
序章 2026年、東京
その朝、東京はいつもと変わらなかった。
山手線は混雑し、コンビニには新しい弁当が並び、丸の内のビル群には、午前八時を少し過ぎた頃から無数のサラリーマンが吸い込まれていった。
しかし、世界はすでに壊れ始めていた。
東京・品川。
大手総合商社の経営企画部で働く高橋直人、42歳は、会社に向かう電車の中でスマートフォンを見ていた。
画面にはウクライナ情勢の記事。
ロシア軍による攻撃。ウクライナによる長距離ドローン攻撃。欧州諸国による軍事支援。そして、ロシア国内で広がる燃料不足。
直人は小さく息を吐いた。
「……まだ終わらないのか」
隣に立っていた若い社員がニュースを覗き込んだ。
「高橋さん、これ、本当にロシアが崩壊すると思います?」
「崩壊?」
「SNSで言ってますよ。ロシア経済が限界だって」
直人は苦笑した。
「国家は、会社みたいに赤字だから倒産するわけじゃないよ」
「じゃあ大丈夫なんですか?」
「いや……」
直人は画面を閉じた。
「国家が壊れるときは、数字じゃなくて、人間が国家を信じなくなったときだ」
その言葉が、数年後に自分自身の人生を変えることになるとは、このときの直人は知らなかった。
山手線は混雑し、コンビニには新しい弁当が並び、丸の内のビル群には、午前八時を少し過ぎた頃から無数のサラリーマンが吸い込まれていった。
しかし、世界はすでに壊れ始めていた。
東京・品川。
大手総合商社の経営企画部で働く高橋直人、42歳は、会社に向かう電車の中でスマートフォンを見ていた。
画面にはウクライナ情勢の記事。
ロシア軍による攻撃。ウクライナによる長距離ドローン攻撃。欧州諸国による軍事支援。そして、ロシア国内で広がる燃料不足。
直人は小さく息を吐いた。
「……まだ終わらないのか」
隣に立っていた若い社員がニュースを覗き込んだ。
「高橋さん、これ、本当にロシアが崩壊すると思います?」
「崩壊?」
「SNSで言ってますよ。ロシア経済が限界だって」
直人は苦笑した。
「国家は、会社みたいに赤字だから倒産するわけじゃないよ」
「じゃあ大丈夫なんですか?」
「いや……」
直人は画面を閉じた。
「国家が壊れるときは、数字じゃなくて、人間が国家を信じなくなったときだ」
その言葉が、数年後に自分自身の人生を変えることになるとは、このときの直人は知らなかった。
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