暁の世界 ――2章 台湾海峡――

第二章 台湾海峡|暁の世界

暁の世界

――崩壊の連鎖――
第二章 台湾海峡
2033年。

世界経済は再編されていた。

ロシア崩壊によって、中国は巨大な陸上国境を抱えることになった。同時に、中国国内では景気後退が深刻化していた。

不動産危機。地方政府の債務。若年層の失業。人口減少。そして台湾問題。

中国政府は、国内の不満を外へ向けようとした。

ある夜。北京から軍事作戦開始の命令が下された。

午前4時17分。台湾周辺で大規模なミサイル攻撃が始まった。

台湾海峡が炎に包まれた。

直人は東京の自宅で緊急速報を見ていた。

「中国が……台湾を攻撃した」

数時間後、日本政府は自衛隊の警戒態勢を引き上げた。沖縄では航空機が飛び交った。東京湾には軍艦が集結し始めた。

そして、日本経済は一気に崩れた。

半導体。海運。エネルギー。金融。すべてが止まり始めた。

会社では緊急対策会議が開かれた。

社長が言った。

「中国との取引を全面停止する」

直人は資料を見ながら答えた。

「それをやったら、日本企業の半分は一年持ちません」

「それでもやる」

「では、日本は何を輸入するんです?」

誰も答えなかった。

その瞬間、直人は理解した。

これは中国と台湾だけの戦争ではない。

世界経済そのものが戦場になったのだ。

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