新型コロナ治療薬、アビガンは軽症患者に、レムデシビルは中等症・重症患者に「弱く推奨」—救急医学会・集中治療医学会

新型コロナウイルス感染症の治療薬について、ファビピラビル(アビガン錠)は、軽症患者へは投与が「弱く推奨」されるが、中等症患者・重症患者への投与については、現時点では「推奨」を提示しない—。 逆にレムデシビル(ベクルリー点滴静注液)については、軽症患者への投与は、現時点では「推奨」を提示しないが、中等症患者・重症患者へは投与が「弱く推奨」される—。 また、全身エリテマトーデス等治療薬のヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)については、すべての重症度の患者について、「投与しない」ことが強く推奨される—。 (1)ファビピラビル(販売名「アビガン錠」、新型・再興型インフルエンザウイルス感染症治療薬で、現在、新型コロナウイルス感染症への効果を研究中) ▽酸素投与を必要としない軽症患者へは、ファビピラビルの投与を「弱く推奨」する(低の確実性のエビデンス:GRADE 2C) (投与による利益が、わずかに害(催奇形性など)を勝る) ▽▼酸素投与/入院加療を必要とする中等症患者▼人工呼吸器管理/集中治療を必要とする重症患者―へは、ファビピラビルの投与は、現時点では「推奨を提示しない」 (利益と害のバランスは、現時点では判断不能) (2)レムデシビル(販売名「ベクルリー点滴静注液」、新型コロナウイルス感染症への効果が暫定的ながら唯一認められている) ▽酸素投与を必要としない軽症患者へは、レムデシビルの投与は、現時点では「推奨を提示しない」 (利益と害のバランスは、現時点では判断不能) ▽▼酸素投与/入院加療を必要とする中等症患者▼人工呼吸器管理/集中治療を必要とする重症患者―へは、レムデシビルの投与を「弱く推奨」する(低の確実性のエビデンス:GRADE 2C) (投与の利益が、害を勝る) (3)ヒドロキシクロロキン硫酸塩(販売名「プラケニル錠」、全身性エリテマトーデス等の治療薬で、現在、新型コロナウイルス感染症への効果を研究中) ▽すべての重症度の新型コロナウイルス感染症患者に、ヒドロキシクロロキンを「投与しないことを強く推奨」する(中の確実性のエビデンス:GRADE 1B) (害が利益を勝る) (4)ステロイド ▽酸素投与を必要としない軽症患者へは、デキサメサゾンを「投与しないことを強く推奨」する(中の確実性のエビデンス:GRADE 1B) (害(臓器障害等)が利益を上回る) ▽▼酸素投与/入院加療を必要とする中等症患者▼人工呼吸器管理/集中治療を必要とする重症患者―へは、デキサメサゾンを「投与することを強く推奨」する(高の確実性のエビデンス:GRADE 1A) (投与の利益が、害を勝る) (5)トシリズマブ(販売名「アクテムラ点滴静注」「アクテムラ皮下注」、関節リウマチ等治療薬で、現在、新型コロナウイルス感染症への効果を研究中) ▽新型コロナウイルス感染症患者へは、トシリズマブの投与については、現時点では「推奨を提示しない」 (投与の利益が害に勝るが、全体的なエビデンスの確実性が非常に低い)

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