「鼻から大量酸素(ネーザルハイフロー)」コロナ新療法広がる

鼻から高流量の酸素を送る「ネーザルハイフロー」の機器=国立国際医療研究センター提供


感染拡大「第5波」の懸念が高まる新型コロナウイルス感染症に対して、「ネーザルハイフロー療法(高流量鼻カニュラ酸素療法)」という新しい治療法が広がりつつある。鼻に差し込んだチューブから多量の酸素を送り込む方式で、これまでなら人工呼吸器を使うような重い病状でも、患者が意識を保ったまま過ごせるのが特徴だ。現場の負担も比較的小さい手法として期待されている。



ネーザルハイフローは、ウイルスに冒されるなどして肺の機能が落ちた患者が、鼻に差し込んだ専用の管(カニュラ)を通して大量の酸素を吸入する治療法だ。「ハイフローセラピー」や「HFNC」などとも呼ばれる。

 酸素と、室内の空気を混ぜ合わせ、1分あたり30~40リットルの多量の気体を鼻から送り込む。肺に酸素が安定的に届き、十分に吐き出せない二酸化炭素を排出するなど、人工呼吸に近い効果が期待できる。



ネーザルハイフローは人工呼吸器と、従来式の酸素療法との中間的な治療法にあたる。「第4波」が収束に向かっていた5月下旬、厚生労働省のコロナ治療の手引で、重症に次ぐ中等症の患者向けに新たに位置付けられた。

 神戸市立医療センター中央市民病院の富井啓介・呼吸器内科部長は、日本呼吸器学会でネーザルハイフローの有効性と安全性を検討してきた。富井医師は「患者さんにとっても医療現場にとっても人工呼吸に比べて負担が小さいのが特徴で、全国的に広がってきた」と話す。

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