テニスの試合で全身痙攣の熱中症になる根本的な原因と対処方法

根本的な原因(メカニズム) テニス特有の誘因・状況 その場の対処(試合中・現場) 再発予防(事前準備・環境調整)
体内の熱産生 > 放熱(高体温)
─ 高湿度・直射日光・無風で放熱低下(WBGT高値)
真夏の屋外コート、人工芝やハードの輻射熱/無風
長いラリー・連戦、濃色ユニ/防具で熱放散低下
直ちにプレー中止・日陰へ退避・衣服ゆるめる
うちわ・送風+濡れタオルで皮膚冷却、氷嚢を頸・腋窩・鼠径へ
意識障害・言動異常があれば救急要請+全身冷水浸漬(可能なら)※
WBGTの確認とスケジュール調整(警戒~厳重警戒は短縮/中止)
休憩・給水ブレイクの義務化、日陰・ミスト・氷の常備
通気性の高い明色ウェア/帽子、コート面の輻射熱対策
体水分不足(脱水)による循環不全・放熱低下 給水間隔が長い/汗量過多、トイレ我慢で飲水回避 冷所で休ませ、口渇に応じて少量頻回の水分補給
めまい・吐き気・失神傾向があれば医療評価へ
ウォームアップ前から計画的に摂取(試合中は15–20分ごと)
体重変化で発汗量を把握し、発汗量に見合う補水計画を作成
ナトリウム欠乏/電解質不均衡
─ 発汗でNa喪失 > 水だけの補給で低Naに傾く
大量発汗・塩味の汗、長時間の水のみ補給
筋痙攣(ふくらはぎ~大腿~体幹へ広がる)
水だけでなくスポーツドリンク等で電解質を補う
塩タブレットの乱用は避ける(医療者指示がある場合を除く)
1時間以上続く痙攣や心疾患・減塩中は受診
連戦時は電解質入り飲料・塩分を計画摂取(間食と併用)
発汗の多い選手は事前にNa摂取戦略を準備
高強度運動による筋疲労・代謝産物蓄積
─ 神経‐筋制御の乱れで痙攣を誘発
ロングラリー、サーブ・ダッシュ反復、短い休憩での連戦 負荷を直ちに下げてストップ、軽度のストレッチと局所冷却
回復飲料(炭水化物+Na)を少量ずつ
暑熱順化(7–14日)、間欠的な休息の挿入、持久・筋力の基礎作り
試合当日のウォームアップを短め&段階的に
暑熱順化不足・睡眠不足・体調不良/感染・一部薬剤の影響 合宿初日・遠征直後、睡眠負債、風邪気味、カフェイン・エナドリ過多 体調不良時は出場回避、異常言動・歩行困難は救急へ
体温が高い場合は積極的冷却+医療評価
新しい暑さ環境では徐々に負荷を上げる順化計画
前夜の十分な睡眠、カフェイン過多の回避、服薬は医療者に確認
重篤型:労作性熱射病(EHS)
─ 中枢神経症状+深部体温 ≥40–40.5℃で多臓器障害リスク
連戦で突然プレー品質低下、言動異常・ふらつき・痙攣・失神 即時に「冷却先行・搬送後回し」:全身冷水浸漬(目標20分以内に深部体温を<39℃)
意識障害・痙攣時は救急要請+気道確保を最優先
スタッフにEHSプロトコル(冷水バス等)を常設
競技会要項に暑熱ポリシー(中止基準/WBGT/救護体制)を明記

※EHS疑い(意識障害・異常言動・全身痙攣など)では、迅速な全身冷却が生存率を左右します。救急車を待つ間も現場で冷却を開始してください。

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